この内容はインスタに分割投稿したものをまとめて一部文言の調整+追記したものです。
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パパになる覚悟はいつできましたか?
こう聞かれると「娘が生まれた後、子育てをするようになってから」というのが正直なところです。
出産の時、まだ僕は「パパ」にはなれていませんでした。
ただの男であり夫でした。
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うちの娘が生まれて3年半。
あの大変だった出産からもうそんなに経つのかと驚きます。
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あれは予定日前日のことでした。
これはまだ父親になるという本当の意味での覚悟が理解できていなかった男からみた出産体験記です。
男からみた出産
仕事中に「もしかしたら陣痛が来たかも…」と妻から連絡がありました。
急いで仕事から駆け付けると、痛いけど陣痛かどうかまだわからないとのこと。
ん?陣痛かどうかわからない?陣痛って言ったのに?と思いました。
この時の僕は出産の知識がなんとなくしかわかっておらず、陣痛にも種類があることを全くわかっていませんでした。
(後から本陣痛ではなく、前駆陣痛だったと知りました。)
陣痛の種類に関してはこちらにが参考になります。
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まだ本格的な陣痛ではないので、先生からは「このまま様子見で入院しましょう」と言われました。
ところが、入院手続きを進めている間に妻はどんどん陣痛がひどくなり、慌てて先生を呼びました。
先生は落ち着いた様子で⠀
「(本)陣痛はじまりましたね。私が担当しますのでお願いします。」と言ってくださり、この先生、落ち着いてるし慣れてそうで安心と思っていました。
[男からみた出産] 無力さを感じる時間
そこから数時間、陣痛で痛がる妻を手を握りながら見守ることしかできない…
もちろん、これだけ痛がる妻を見るのも初めてです。
その叫び声が痛みの強さを物語っていました。
この時間はかなり長く感じ、不安やら辛いやらとても複雑な感情でした。
何もできない自分に一番無力さを感じた時間でもありました。
もちろん、この時一番辛くて不安なのは妻です。
「この痛みがあとどれだけ続くのか、耐えられるのか…」
「ちゃんと赤ちゃんは生まれてきてくれるか」
そんな気持ちを抱えながら痛みに耐えていたそうです。
[男からみた出産] ようやく分娩室へ
「そろそろ行きましょうか。」
看護師さんの声でようやく分娩室へ向かいます。
分娩室に向かうため、壁づたいにフラフラで歩く妻を支える。
一歩一歩 転ばないよう、ゆっくりしか歩けないため、短いはずの廊下が異常に長く感じます。
そこにさっきの先生が!
と思ったら、なぜか別の先生が登場…
(え?誰? なんで別の先生が?)
そう思っている間に、助産師さんたちがどんどん準備を進めます。
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(え?さっき担当するって言った先生は?その説明ないの?)
オドオド登場した先生は、緊急で入ることになったのか、次に何をすればよいのかわからないような感じでした。
気付けば助産師さんたちがテキパキしすぎて、先生 後ろで見てるだけ…
むしろ指示されてる…
(もう不安しかない…)
でもこの状況で、一番不安に思ってるのは間違いなく妻。
自分が何かいうと、よけいに不安にさせるかもしれない。
何も…言えない…
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(助産師さんの指示通りに動いてる、このオドオド先生、本当に大丈夫なのか…)
なんて間違っても口に出せないので、とにかく妻に励ましの言葉をかけ続けました。
[男からみた出産] 出産前のリクエスト
ちょっと話がそれますが、出産を前に妻からリクエストがありました。
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【出産の時に高級チョコレートが食べたい】
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え?そんなの食べる余裕あるの?と思いつつも「そういう時は意外とお腹が減るから」とのこと。
これから命かけて闘おうとしてる人がいうささやかな願い。⠀
ええ、ええ。
それくらい叶えますとも。
出産の数日前、百貨店やネットで美味しそうな複数の高級チョコを購入。
余ってもいいやと奮発してなんだかんだ5種類くらい買いそろえました。
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ちょうどその時期は、バレンタイン商戦の真っ只中。
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女性だらけの激混みの百貨店にポツンとチョコを選ぶ男が一人。
汗まみれになりながらも、バッチリ準備を整え、出産に臨みました。
[男からみた出産] 気づけば深夜…
陣痛が始まってからもう数時間。
気付けばとっくに深夜、日付も変わっていました。
助産師さんの「頭 出てきたよー」とか「順調、大丈夫!」の言葉に安心していたら、
そのあと怖い言葉が聞こえてきました。
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「引っかかってる。そのままじゃ無理やから一回戻そう」
(え?一回戻す?何それ?戻せるの?)
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内心パニック…
不安で妻の手をきつく握ると妻も握り返す。
そして妻が、小さな声でつぶやきました。
「チョ、チョコ」
妻の一言で不安だった気持ちが一気に吹っ飛びました。
チョコを自分で選び口に運ぶ妻。
実際にこの状況で、チョコを食べる妻の姿を見て、改めて女性って本当に強いと思いました。
ちなみにこの時食べたチョコはこれです。
母なる大地 地球や土星、金星を食べ、闘いを続けます。
[男からみた出産] 助産師さんの声で状況判断
男は妻の頭側でひたすら見守っているので反対側で今、何が起きているか、助産師さんたちの声で判断するしかありません。
さっきから言っていた「一回戻そう」というのは肩のことだったと理解しました。
赤ちゃんの肩が引っかかってなかなか出てこられない。
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助産師さんたちの指示で何度も体勢を変える妻。
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あまりに長くその状態が続き、だんだんフラフラに…
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助産師さんに抱えられながら、なんとか体勢をかえること数回。
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ようやく肩が出てきました。
(といっても僕からは見えていません。「肩出てきたよ」という声を聞いてわかっただけです。)
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肩まで出ればあと少し。
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助産師さんたちも「いきんで!」と強く声をかけ、妻も必死にいきみます。
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その呼吸に合わせるように、妻の手を強く強く握りました。
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まだ生まれてないのに、気付けば涙があふれていました。
とにかく、とにかく、母子ともに無事にと祈ります。
そして…
[男からみた出産] ついにその時が…
生まれてくると同時に、産声が聞こえました。
妻に「産んでくれてありがとう、よう頑張った」と泣きじゃくりながら労いの言葉をかけました。
もう男泣きとかそんな話ではなく普通に泣いてました。
ただただ、妻と娘の2人の頑張りに感動しました。
すぐ看護師さんたちが赤ちゃんの体を拭き、僕に抱かせてくれました。
妻が先じゃないの?と思いながらも、小さな命を抱きしめます。
でもその時、妻はまだ闘っていました。
胎盤がなかなか出てこなかったのです…
[男からみた出産] 胎盤排出までが出産
赤ちゃん生んでからも、まだ痛みを伴う胎盤排出なんて知りませんでした。
※今から出産を迎える旦那さんは上で書いた陣痛の種類や、胎盤排出のことも知っておいたほうが良いです。
へその緒を切ったらそれで終了と考えていました。
胎盤はスルッと出る方もいれば、うちの妻のように時間が結構かかる人もいるそうです。
場合によっては癒着胎盤といって、胎盤がくっついて剥がれず、大量出血のリスクもあります。
癒着胎盤とは、胎盤の一部である絨毛が子宮筋層に侵入し、子宮壁と胎盤が癒着してしまう異常妊娠のことです。絨毛が侵入した部分にはたくさんの血管が存在するため、胎盤が剥がれた部分からは多量の出血が起こります。加えて、胎盤が子宮内に残存してしまうために子宮の収縮が妨げられ、出血が止まらないという非常に危険な事態に陥ることが多々あります。
引用元:Medical Note
[男からみた出産] 母子ともに無事が何より大事
娘を出産後、30分ほど経ち、なんとか胎盤も出てようやく妻も娘に触れることができました。
全力で闘った妻の上に寝転ぶ娘を見て、とにかく2人とも無事でよかったと安堵しました。
うちの娘は低体重で生まれてきました。
もちろんこれは事前にわかっていたことです。
低体重だと知っていたからこそ出産には非常に強い不安がありました。
なんなら担当の先生もいきなり変わりましたしね…
後になって見れば、思い出話として普通に語れることですが、この時は生まれてくるまで何があるかわからない不安にずっと襲われていました。
「母子ともに無事」これが何よりも大事なことです。
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約2300gの小さな女の子。
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その小さかった命は、すくすく育ち今を生きています。
[男からみた出産] 後から思うこと⠀⠀
出産の時の記憶は女性の方は命がけだったのでよく覚えていると思います。
でも男からみた出産も相当記憶に残る出来事です。
もっと事前に知識を入れておくべきだった、もっとこうしてあげれば良かった。
後から思うことがいろいろとありました。
命の重みって男が考えているより、もっともっと重いものです。
これから命を懸けて子供を産もうとしている女性。
その覚悟は男が思っている何倍もの覚悟です。
自分の思いつく、出来うる限りのサポートをしてあげてください。
その時の行動や思いはちゃんと相手に伝わります。
出産の時、命を懸ける女性にあなたは男として何をしますか?
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